海の底から

備忘録

ことば遊びの楽しみ

『ことば遊びの楽しみ』 阿刀田 高 岩波新書


 日本語についての多角的考察を、学者ではなく小説家がおやりになった、珍しい1冊。
 例文がいちいち分かりやすくて面白い、ことば好きならなるほどと納得しうる、サービス満点な内容です。
 しゃれ、駄じゃれ、漢字になぞなぞ、回文に替え歌など、阿刀田さんが子供時分から触れてきたさまざまな遊びことばがずらり。

 あ、擬態語、擬音語(オノマトペ)についての説明はありませんでした。 残念。
 ま、このあたりは小説家らしい。 いい小説家は擬音の表現には頼りません。 卓抜な比喩を使いこなせてこそのプロですから。
 でも 中原中也の ゆあーんゆよーん ゆやゆよん や、宮沢賢治の どっどどどどうどどどうどどどう などはいいですよね。 びしっと決まれば、これ以上ない表現方法になります。

 そうそう、パソコンが普及したら、漢字の成り立ちや意味がもたらす味わいが廃れると危惧しておられました。
 確かに、書かずに打つだけだと、手から伝わる感覚が薄れますから。
 でもネット上では、独自のことばが発達しつつあって、意外と後世に残る傑作があるかもしれません。 ま、単なるウケ狙いで、すぐ消え去るものが圧倒的多数ですが。
 もうすぐW杯ということで、本田圭佑選手(日本代表)のインタビューから流行り言葉が生まれたり、彼をさす呼び名まであるそうですね。
・ 本田Δ  (本田さんかっけい→本田さん格好いい)
・ 本田(÷) (本田さんカッコわる→本田さん格好悪い)
 という意味を、昨日 新聞で知りました。
 6月には、ネットが三角形だらけになることを期待しつつ、紹介しましたΔΔΔΔΔ

 そうそう、私が小学生の時、ゴム跳び遊びをする際に歌っていた替え歌があるんです。確かこんな歌↓

 騎士輝く日本の
 相手はアメリカヨーロッパ
 パ パ パラリの新学期
 にんにん肉屋の大泥棒
 ああ信州の鐘が鳴りなるキンコンカン

 3行目以降は、ヘンテコな語呂合わせで意味はなさそうです。 漢字は間違ってるかも。 「信州」ではなく「真鍮」かもしれないし。
 欧米と戦うから、多分太平洋戦争時代の軍歌の替え歌だろうと思ってました。
 けど最初の「騎士」は、この本に載っていた替え歌にある「金鵄(きんし)」だろうと判って、ちょっとすっきりしました。
 しかしなぜこんな歌を覚えていたのか、誰に習ったのかは思い出せません。 うーん、謎だ。
 お風呂でよく歌った数え歌もご紹介。 数字の1から10までを駄じゃれで数えています。

 いち に さんまの しっぽ ごりらの ろっこつ なっぱ はっぱ くさった とうふ

 ゴリラの肋骨なんて見たこともありませんが、そこがナンセンスで面白かったんだろうね、分からないなりに歌ってました。
 お湯の熱さに耐えながら、なるべく早口で言おうとする私と、ゆっくりあったまれと言わんばかりに音を伸ばして長びかせる母のせめぎ合いが、毎夜繰り広げられていました。 懐かしいなぁ。
 岐阜県南部で育った私のことば遊び、他にもご存じの方、いらっしゃるでしょうか。
 

テーマ:読書 - ジャンル:小説・文学

  1. 2014/05/25(日) 22:20:04|
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あの人に逢いたい より

 『BS朝日ダイワハウスpresents 世界人間旅行 あの人に逢いたい』(http://www.bs-asahi.co.jp/aitai/)に出演されていた詩人・谷川俊太郎さんの一問一答が、とても興味深いものだったので、メモしておきます。
 谷川さんのことは、臨床心理学者の河合隼雄さんの共著や、スヌーピーの漫画の翻訳などで、以前から知っていました。
 最近では、『ハウルの動く城』のエンディングテーマ「世界の約束」の歌詞を書いたりしていますね。
 いつまでもお元気でいてほしい方です。
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テーマ: - ジャンル:小説・文学

  1. 2013/03/24(日) 23:28:32|
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形容詞の使われ方

 妹は、「背が高い」と言われ続けて、ずいぶん長いこと気にしていました。
 それを横で眺めていた私は、ふと気づきました。
 妹に 背が高い と言う人は、妹より 背が低い 人だって。

 誰かを形容詞で表す時は、別の誰かと比べています。
 そして大抵は、自分をものさしに使うようです。

 ○○さんは賢い、可愛い、仕事が早い、性格が明るい…などなど、世間話でよく使われる形容詞。
 でもその言葉の裏には、(それにひきかえ、自分は…)というコンプレックスが隠されているんですね。
 うっかり褒め言葉を連発して、劣等感全開、ひがみ根性出まくりにならないよう、気をつけた方がよさそうです。

 たとえ褒め言葉でも、形容詞は人を「評価」することにつながるのです。
 しかも、主観による不平等な価値観で評価してしまうので、なお悪い。こんな些細な一言から、差別が始まるのかもしれません。
 せめて、自分の言葉が相手にとってどんな影響を与えるか、言う前にひと呼吸おいて考えなければ。
 相対評価ではなく、絶対評価でもなく。
 誰かを引き合いに出したり、比べたりしないで、その人そのものをよく見て、感じるままに受け止められたら、それが一番いいのでしょうね。自分のことも、他人のことも。
 

テーマ:雑記 - ジャンル:小説・文学

  1. 2012/12/04(火) 21:51:21|
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かわいい

 現代日本はいわゆる cute culture(キュート文化)の発信源とみなされており、日本のアニメ・漫画・各種の小物などは世界的に有名なんだそうで。
 そんな、便利に使われる形容詞「かわいい」ということばについてメモ。
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テーマ:詩・ことば - ジャンル:小説・文学

  1. 2012/10/04(木) 21:30:30|
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好きが広がる

路(みち)の辺(へ)の 壱師(いちし)の花の いちしろく
  人皆知(ひとみなし)りぬ 我が恋妻(こひづま)を


   (万葉集 巻第十一 二千四百八十 柿本人麻呂歌集より)

<意…路端の壱師(いちし)の花のように、いちしろく、はっきりと皆に知られてしまった、私の恋しい妻のことを。>

 壱師の花とは、一説によると彼岸花。
 「いちし」と、「いちしろく(はっきりと、目立って、という意味)」を掛けている訳です。 おしゃれ。

 当時、恋心は秘すべきもの。
 想いが深ければ深いほど、自分の胸の中にとどめておくものとされていました。
 ゆえに、下の句が情熱的な抒情詩となるのです。

 …と、『日めくり万葉集』(NHK)でいってました。 ただの受け売りw
 壱師の花が万葉集に出てくるのは、これ一首のみだそうです。
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テーマ:誰かへ伝える言葉 - ジャンル:小説・文学

  1. 2011/10/12(水) 18:00:00|
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藍田海

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