海の底から

備忘録

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 16、17日に降った雪は、岐阜に20センチ以上の積雪をもたらしました。
 道がつるつるに凍ってました。
 冬の備えを何もしていなかったので、普通タイヤの軽自動車で、会社へ行きました。
 久々に、雪の恐怖を味わいました。

 多すぎる雪は嫌われるけど、それでもやっぱり、雪が好きです。
 以下、雪の詩。(自分用メモ)
 
 
 「雪」    三好達治

太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。
次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。


 しんしんと降り積もる雪の音まで聞こえてきそうな詩。


 「信濃」   室生犀星

        編がさやちらと見しもの雪のひま

雪というものは
物語めいてふり
こなになりわたになり
哀しいみぞれになり
たえだえにふり
また向うも見えぬほどにふる
村の日ぐれは
ともしびを数えているうちに深まる
雪は野山を蔽(おお)い
野山も見えずなる
こなになりわたになり
哀しいみぞれになり
きれぎれにふりついに歇(や)んでしまう


 雲から生まれ、村に舞い降り、止むまでの雪の一生。


 「汚れっちまった悲しみに……」   中原中也

汚れっちまった悲しみに
今日も小雪の降りかかる
汚れっちまった悲しみに
今日も風さえ吹きすぎる

汚れっちまった悲しみは
たとえば狐の皮裘(かわごろも)
汚れっちまった悲しみは
小雪のかかってちぢこまる

汚れっちまった悲しみは
なにのぞむなくねがうなく
汚れっちまった悲しみは
倦怠(けだい)のうちに死を夢む

汚れっちまった悲しみに
いたいたしくも怖気づき
汚れっちまった悲しみに
なすところもなく日は暮れる……


 真っ白な雪が、哀しい心を覆い尽くす。


 「積もった雪」   金子みすゞ

上の雪
さむかろな。
つめたい月がさしていて。

下の雪
重かろな。
何百人ものせていて。

中の雪
さみしかろな。
空も地面(じべた)もみえないで。


 いろいろな雪の気持ち。


 「永訣の朝」   宮沢賢治

きょうのうちに
とおくへいってしまうわたくしのいもうとよ
みぞれがふっておもてはへんにあかるいのだ
   (あめゆじゅとてちてけんじゃ)※
うすあかくいっそう陰惨な雲から
みぞれはびちょびちょふってくる
   (あめゆじゅとてちてけんじゃ)
青い蓴菜(じゅんさい)のもようのついた
これらふたつのかけた陶椀に
おまえがたべるあめゆきをとろうとして
わたくしはまがったてっぽうだまのように
このくらいみぞれのなかに飛びだした
   (あめゆじゅとてちてけんじゃ)
蒼鉛いろの暗い雲から
みぞれはびちょびちょ沈んでくる
ああとし子
死ぬといういまごろになって
わたくしをいっしょうあかるくするために
こんなさっぱりした雪のひとわんを
おまえはわたくしにたのんだのだ
ありがとうわたくしのけなげないもうとよ
わたくしもまっすぐにすすんでいくから
   (あめゆじゅとてちてけんじゃ)
はげしいはげしい熱やあえぎのあいだから
おまえはわたくしにたのんだのだ
銀河や太陽 気圏などとよばれたせかいの
そらからおちた雪のさいごのひとわんを………
……ふたきれのみかげせきざいに
みぞれはさびしくたまっている
わたくしはそのうえにあぶなくたち
雪と水とのまっしろな二相系をたもち
すきとおるつめたい雫にみちた
このつややかな松のえだから
わたくしのやさしいいもうとの
さいごのたべものをもらっていこう
わたしたちがいっしょにそだってきたあいだ
みなれたちゃわんのこの藍のもようにも
もうきょうおまえはわかれてしまう
   (Ora ora de shitori egumo)※
ほんとうにきょうおまえはわかれてしまう
あああのとざされた病室の
くらいびょうぶやかやのなかに
やさしくあおじろく燃えている
わたくしのけなげないもうとよ
この雪はどこをえらぼうにも
あんまりどこもまっしろなのだ
あんなおそろしいみだれたそらから
このうつくしい雪がきたのだ
   (うまれでくるたて
    こんどはこたにわりゃのごとばがりで
    くるしまなぁよにうまれでくる)※
おまえがたべるこのふたわんのゆきに
わたくしはいまこころからいのる
どうかこれが兜率(とそつ)の天の食に変わって
やがてはおまえとみんなとに
聖い資糧をもたらすことを
わたくしのすべてのさいわいをかけてねがう

 ※あめゆきをとってきてください
 ※あたしはあたしでひとりいきます
 ※またひとにうまれてくるときは こんなにじぶんのことばかりで くるしまないようにうまれてきます


 哀しくも痛ましく、美しい別離。


 ------ 追 記 (2011.2.5)------

 「雪」   堀口大學

雪はふる! 雪はふる!
見よかし、天の祭なり!

空なる神の殿堂に
冬の祭ぞ酣(たけなわ)なる!

たえまなく雪はふる、
をどれかし、鶫等(つぐみら)よ!

うたへかし、鵯等(ひよどりら)!
ふる雪の白さの中にて!

いと聖(きよ)く雪はふる、
沈黙の中(うち)に散る花瓣(くわべん)!

雪はしとやかに
踊りつつ地上に来(きた)る。

雪はふる! 雪はふる!
白き翼の聖天使!

われ等が庭に身のまはりに
ささやき歌ひ雪はふる!

ふり来(く)るは恵(めぐみ)の麺麭(パン)なり!
小さく白き雪の足!

地上にも屋根の上にも
いと白く雪はふる。

冬の花瓣の雪はふる!
地上の子等の祭なり!


 雪国でも、子どもは雪が好きで、大人の心配をよそに、大はしゃぎするらしい。


 「何処(いづこ)」   西条八十

しづかに雪降りいでたれば
われ女(をみな)に問ひぬ、
あはれ、あはれ、
春はいま何処ぞや。

女、こたへず
連翹(れんげう)の花の黄を毟(むし)り
山裾をめぐりゆけり。

幽(かす)かなる雪の小径(こみち)に
こぼれ散る黄の花片(はなびら)、いとほしく
踏みゆけば風光る。

啞(おし)のごとく、女
山裾をめぐれど
やがて三月(やよひ)の日麗(うらら)かに
照りいでなば。

雪崩(なだれ)は空に消え、
人も
花も
色のみぞ、海のごとき。


 今年の雪も、今がピーク。手品のように大雪を消してしまう春は、すぐそこ。


 「生ひ立ちの歌」   中原中也

  Ⅰ

    幼 年 時
私の上に降る雪は
真綿のやうでありました

    少 年 時
私の上に降る雪は
霙(みぞれ)のやうでありました

    十七――十九
私の上に降る雪は
霰(あられ)のやうに散りました

    二十――二十二
私の上に降る雪は
雹(ひょう)であるかと思はれた

    二十三
私の上に降る雪は
ひどい吹雪とみえました

    二十四
私の上に降る雪は
いとしめやかになりました……

   Ⅱ

私の上に降る雪は
花びらのやうに降つてきます
薪の燃える音もして
凍るみ空の黝(くろ)む頃

私の上に降る雪は
いとなよびかになつかしく
手を差伸べて降りました

私の上に降る雪は
熱い額に落ちもくる
涙のやうでありました

私の上に降る雪に
いとねんごろに感謝して、神様に
長生したいと祈りました

私の上に降る雪は
いと貞潔でありました。


 切ない哀しみが雪となり、詩人の上にいつもしんしんと降っていた。
 

テーマ:詩・ことば - ジャンル:小説・文学

  1. 2011/01/19(水) 01:58:25|
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