海の底から

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デミアン

 この年になって、ようやくヘルマン・ヘッセの『デミアン』を読みました。
 名作と呼ばれるものは、若い頃読むべきなのですが、当時の私は、「名作ぅ? けっ!」みたいなところがありまして///
 偉そうに説教くさいこと言われるのは ご勘弁~とばかりに、逃げてたんです。
 文化系のくせに、つっぱってたんですね(^^ゞ

 時代を超えて読み継がれる本は、偉大です。 これぞ、ことばの力。
 古くさいどころか、全く新鮮!
 知らないってのは損だなと、つくづく痛感しています。

 好きなブロガーさんの記事がきっかけで、読んでみたのですが、正解でした。
 ありがとうございます!
 
 
『デミアン』 ヘルマン・ヘッセ 著 高橋健二 訳 河出書房新社 世界文学全集より

【あらすじ】

 ラテン語学校に通う十歳の少年・シンクレールは、幸福な上流階級の子どもだった。
 愛情深くやさしい父母と、姉たちに囲まれ、よい家庭で育ったが、近所の悪童とも一緒に遊んだりしていた。

 その中の一人、13歳のフランツ・クローマーという気の荒い少年に、シンクレールは弱みを握られる。
 彼らの気を引こうとして、果樹園からリンゴを盗んだと、大げさなホラ話をしてしまったのだ。

 しかし、リンゴを盗まれたのは事実だった。
 フランツは、リンゴを盗んだのは誰かを、果樹園の持ち主に告げると、シンクレールを脅す。
 困ったシンクレールは、フランツのいいなりになって、女中の小銭を取って貢いだりする。
 ウソの盗みが、本当の盗みへと、つながってしまうのだ。

 シンクレールを悩ませたこの事件は、ある人物の登場によって解決する。
 マックス・デミアン。
 シンクレールより年上の、一風変わった転校生。
 デミアンは、シンクレールに興味を抱き、魔法使いのように、シンクレールの苦悩を取り去ってしまう。
 こうしてシンクレールは、魅惑的なデミアンに、急速に惹かれていく。


【感想】

 作者によると、デミアンという名は、デーモン(魔精)と同じく、デモニアクス(悪魔にとりつかれたもの)から出ているそうです。

 この世界は、善いものだけでなく、悪意に充ちたものからも、成り立っています。
 よい家庭でよいしつけを受けたシンクレールは、思春期の手前で、それに気づくのです。

 シンクレールは、悪魔のようなフランツに脅されますが、そもそも彼に近づいたのは、シンクレール自身なのです。
 明るい世界に属していたシンクレールは、それだけでは生きられず、恐ろしい悪に惹かれていきます。

 善と悪、清浄と汚濁、明るい世界と暗い世界の狭間で揺れながら、シンクレールはもがきます。
 自分自身になるために、現実世界の虚偽が、きれいごとで隠された真実が、徹底的に暴かれます。

 シンクレールが、デミアンを通して世界を知り、己の内なる声を聞き、ギリギリのところで立ち直る過程は、スリリング。
 デミアンの母親・エヴァ夫人と、シンクレールの語らうシーンが好きです。
 エヴァ夫人の存在自体が、安らぎとあたたかさに満ちていて、癒されました。

 シンクレールとエヴァ夫人は、理想的な男女の関係を描いていますが、やはり完全な一対とはなり得ず、悲しみのラストヘ…。

「君があるところの一切、君が意志するところの一切、君がしなければならないところの一切は、自分自身から出発する」

と訴えるデミアンは、結局、人間を信じているんですよね。
 人間の悩みは尽きないし、業から逃れることはできないし、同じ過ちを繰り返すのだけど、それでも…と思わせてくれる、骨太な小説でした。

 私の中の小さな鳥は、今も卵の中から抜け出ようと、くちばしで突ついているようです。
 神・アプラクサスの元まで飛んでゆくのは、まだまだ、夢の途上…
 

テーマ:図書館で借りた本 - ジャンル:本・雑誌

  1. 2011/06/05(日) 08:29:51|
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