海の底から

備忘録

八木重吉と私

'11-09-16

 ぱんぱかぱーん!
 やっと、ついに、とうとう手に入れました! 『八木重吉全詩集1・2巻』(ちくま文庫)。
 すでに絶版のこの本、あきらめ半分で探してたら、見つけました。
 ネットの威力ってすごい。

 重吉が敬愛するジョン・キーツの詩集(『対訳 キーツ詩集』 宮崎雄行 編 岩波文庫)も、あわせて購入しました。
 素晴らしい三連休になりそう。
 
 
 最初の出会いは、新聞に載っていた、この詩でした。


  「雨」  八木重吉

雨のおとがきこえる
雨がふってゐたのだ

あのおとのようにそっと世のためにはたらいてゐよう
雨があがるようにしづかに死んでゆこう



 ここまで無欲な思いがあるでしょうか。
 簡単なことばの中に、悲しいくらい深い、他者への愛が込められています。

 2008年の秋、たまたま目にした4行が、いつまでも心に残りました。
 これはただならぬものだと直感し、新聞を切り抜き、取って置くことに。

 しかし、すぐ 詩集を買いに走ったりしない、のんびり屋の私。
 図書館で時々彼の詩集(ただし全集にあらず)を読んでは、よいなぁと思い続けていました。

 遠くから眺めるだけの、片恋のような「好き」の気持ち。
 誰だって、ひと目惚れしたからって、いきなり告白しないでしょ?(する人もいるけど)

 重吉への思いは、憧れとともに、じっくりゆっくり大きくなっていきました。
 そのうち、図書の本では飽き足らなくなって、重吉が書き残したもの全部を、知りたくなったのです。

 羨望から、占有へ。 無欲な詩に感動する私は、とても欲張りです。 矛盾してるね。
 で、入手までに、3年かかったわけだ。 長ーい。 我ながら呆れるw
 その分、根深い「好き」になりそうです。


  「素朴な琴」  八木重吉

この明るさの中へ
ひとつの素朴な琴をおけば
秋の美しさに耐へかね
琴はしづかに鳴りいだすだろう



 秋が来ると、そっと くちずさみたくなる詩。
 秋の明るさ、美しさを、重吉は大層好んで、多くの詩にうたいました。

 夏生まれの私にとって、秋は、ぼんやりした印象しかありませんでした。
 夏休みが終わり、寂しさを引きずったまま、寒い冬が来る、という暗いイメージでした。
 ですが、今年の秋は、ちょっと感じ方が変わると思います。
 

テーマ:詩・ことば - ジャンル:小説・文学

  1. 2011/09/16(金) 23:25:41|
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