海の底から

備忘録

ヘッセ詩集

ヘッセ詩集 (新潮文庫)ヘッセ詩集 (新潮文庫)
(1950/12)
ヘッセ

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 昔は、古典や外国作品の、いわゆる不朽の名作などには ほとんど見向きもしませんでした。 理解できないことを恐れた 私の小心ゆえに。
 今は、ただ好きか嫌いかで決めていいんだと思っています。 名作でも合わないものはあるし、合わないものでも 時間を経て、受け入れられるものもありますから。

 詩もそのひとつ。 正直、若い頃は その青臭さが 異常にウソくさく、また照れくさかったです(^^ゞ
 葛藤や悩み、孤独と あまり縁のない私でも、夜眠れない人や、寂しい人、疲れた人の内実を、少しだけ共有出来ました。
 人は人生という名の旅路を、孤独に歩いて行くものなんですね。
 
 
   ど こ か に

人生の砂漠を私は焼けながらさまよう、
そして自分の重荷の下でうめく。
だが、どこかに、ほとんど忘れられて
花咲く涼しい日かげの庭のあるのを私は知っている。

だが、どこか、夢のように遠いところに、
憩い場が待っているのを、私は知っている、
魂が再び故郷を持ち、
まどろみと夜と星が待っているところを。

                      Irgendwo


   フ ィ エ ー ゾ レ

私の頭上の青空を旅する雲が
私に、ふるさとへ帰れ、と言っている。

ふるさとへ、名も知れぬ遠いかなたへ、
平和と星の国へ帰れと。

ふるさとよ! お前の青い美しい岸を
私はついに見ることはないだろうか。

でもやはり私には、この南国の近く足のとどく所に
おまえの岸べがあるに違いないと思われる。

                       Fiesole

 (『ヘッセ詩集』 高橋健二 訳 新潮文庫 より引用)



 私がこの詩集を買おうと思ったきっかけの詩。
 『ファンタジックチルドレン』というアニメで、登場人物のひとりが、これらの詩をそらんじるシーンがあって、ずっと気になっていたのです。 「デュマ(デミアン)」という名のキャラまで出てくるし。
 当時大ハマリして、今もあの結末について、思いを巡らせることがあります。 たとえ架空の人物でも、あんまり好きになると、心の中に住みついてしまうようです。 情が移ってしまうのでしょうね。
 詩集の中に「雲」が出てくる詩が、若い頃の詩にもあります。


   白 い 雲

おお見よ、白い雲はまた
忘れられた美しい歌の
かすかなメロディーのように
青い空をかなたへ漂って行く!

長い旅路にあって
さすらいの悲しみと喜びを
味わいつくしたものでなければ、
あの雲の心はわからない。

私は、太陽や海や風のように
白いもの、定めないものが好きだ。
それは、ふるさとを離れたさすらい人の
姉妹であり、天使であるのだから。

                 Weisse Wolken

           (『ヘッセ詩集』 より引用)



 雲はヘッセの身近にあって、共感しやすい自然物だったようです。 雲といえば、のん気で気ままなイメージしかなかった私には、ハンマーで殴られたような衝撃でした。 ヘッセに感化されて、実に嬉しい。
 眠る前、心静かに読みたい本です。
 

テーマ:本の紹介 - ジャンル:本・雑誌

  1. 2012/03/30(金) 21:53:35|
  2. 本&漫画
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