海の底から

備忘録

ハゴロモ

 私の好きな臨床心理学者・河合隼雄さんが紹介されていた『ハゴロモ』(よしもとばなな 著 新潮社)について。
 『ココロの止まり木』(河合隼雄 著 朝日文庫 「恋愛の今昔」より)で仰っていた通り、「アタリ!」でした。こういう本に出会えると、本当にうれしい。
 
 
 主人公のほたるが、8年に及ぶ愛人生活を終えて、故郷へ帰る所から、話が始まります。
 不倫が本妻にバレて、彼が妻を選んだことに、ほたるは傷つきます。
 そんなほたるを、川のある故郷の景色や、家族、知り合いが優しく受け止め、癒してくれます。

 泣いている時、川辺を渡る涼しい風が、頬をすっと撫でていく、あの感じ。
 散々泣いて、涙が乾いた後、ふっと心が軽くなる、あの心地よさ。
 私の町にも川があるから、文章が感覚で伝わるのかもしれません。うまく言えないけど。

 あと、ほたるのお姉ちゃん的存在のるみちゃん! 彼女が骨太な人生を生きてる、素敵な女性なのです。
 とにかく打たれ強い!芯がぶっとい!って感じ。
 強いから、ほたるがどんなにヘトヘトでボロボロか判るし、羽衣で包むように優しくいたわってくれるのです。
 こんな友人がいたら、どんなにいいだろうと思いました。

 で、ほたるが失恋から立ち直るきっかけとなったのは、新しい恋なわけですが、それがなんとも淡々しい、とても恋とは呼べないような、清いものなんです。
 彼、みつるくんも、ほたると同じようにしんどい状況でした。
 それが、人と人がつながっていくうちに、みんなちょっとずつ気持ちが上向いて、回復していくんです。
 手足のしびれがなくなって、血の流れが戻ると、だんだん感覚が戻っていくように。
 水が循環していくように。

 まるでおとぎ話のように、不思議な力が働いて、ほたるが元気になっていく過程が、とても良かったです。
 私もちょっと元気出た。
 雨が上がったら、増水した川を見に行きましょうかね。茶色く濁った水が、ごうごうと渦を巻いて、勢いよく流れていることでしょう。
 

テーマ:図書館で借りた本 - ジャンル:本・雑誌

  1. 2012/07/01(日) 20:16:46|
  2. 本&漫画
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