海の底から

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はだしのゲン

『はだしのゲン 愛蔵版』 中沢啓治 全10巻 汐文社

 学校の図書館になぜ漫画が置いてあるのかずっと謎で、でも恐そうだから避けてた作品です。
 作者の死亡記事を読んでから、やっと読みました。

「過去からみても、今後未来においても、この二十世紀くらい人をたくさん殺した世紀はないでしょう」と、堀田善衛さんが語っていたことを思い出しました。
(『時代の風音』堀田善衛 司馬遼太郎 宮崎駿 著 朝日学芸文庫 より)

 出てくる人が次々死んでゆく、それも戦地ではなく、日常生活を営む家や学校で。
 兵士が敵の攻撃で殺されるだけではなく、味方同士がいがみ合い、戦争に反対する者を差別し、抹殺していたという事実。
 戦争を吹っ掛けた張本人が、安全圏でのうのうとしている皮肉。
 でも、読んでよかったです。
 20世紀にけじめをつけるためにも、知っておかなければならないことが、漫画という読みやすいジャンルで描いてあるので、みんなも勇気を出して読んでみて!
 
 
 舞台は、昭和20年の広島。
 中岡元(ゲン)が、家族と共に、戦中~戦後の苦しい時代を前向きに生きる姿を描いた少年漫画です。
 父親が非国民と蔑まれたり、兄が学徒動員で学校にも行けなかったり、弟は疎開させられたり、とにかく悲惨なことばかり。
 それでもゲンは、親の教えを守り、麦のように、踏まれても強く まっすぐ 伸びやかに 育ちます。
 その明るさは、子どもが生まれ持つ生命力であり、周りもそれに引っ張られてゆきます。
 軍歌の替え歌を歌いまくり、相手が大人でも間違ってると思えば食い下がり、乞食でも何でもしてお金を稼ぐ したたかさ。
 ゲンのしゃべる広島弁もいい。「腹減ったのう」「勘弁してつかあさい」なんて言われると、ほのぼのしてしまいます。

 そして8月6日、原爆投下で広島は壊滅的な被害を受けます。
 その克明な描写がすごい。
 死屍累々。 見渡す限りの焼け野原。 地獄です。
 よくこれを週刊少年ジャンプで連載しましたね。 作者と編集部の英断を褒めたたえるべきでしょう。
 どうしても、この史実を書き残さなければならない…という使命感だったと思います。

 ゲンは母親や兄弟と必死に生き延びようとします。
 その生きざまは、時に苛烈で、泥棒や殺人事件まで起こります。
 でも誰が彼らを責められるでしょう?
 家族とのささやかな暮らしを奪われたゲンが、戦争を止められなかった天皇を罵っても、責める気持ちは湧きませんでした。

 その後、ゲンの髪が全部抜け落ちてしまいます。
 子ども心に恥ずかしくもあったでしょうが、幸い数年後に、髪は元に戻り、読者も一安心。
 しかし、母親がとうとう血を大量に吐いて、亡くなってしまいます。
 原爆の恐ろしさは、何年経っても放射能が消えないことにあるのだと、身をもってゲンたちが語ってくれます。

 …原爆の落とされた国で、また、放射能汚染が起こるとは、広島で眠る人たちも思ってなかったでしょうね。
 人間って救いようのないバカなのでしょうか。
 そうは思いたくないので、戦争反対、原発反対をここに表明します。 作者の中沢啓治さんの無念を晴らすためにも。
 これから一生懸命考えて、小さい声をあげていきますから。
 

テーマ:図書館で借りた本 - ジャンル:本・雑誌

  1. 2013/06/02(日) 11:42:50|
  2. 本&漫画
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