海の底から

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フィオナの海

『フィオナの海』 ロザリー・K・フライ 著 矢川澄子 訳 集英社

【あらすじ】

 10歳の少女・フィオナは、4年前から行方不明となっている弟を探すため、生まれ故郷のロン・モル島へ向かう――

 スコットランドの海と島を舞台に、ケルトの伝説から生まれた物語です。
 世界の果てのような場所。  荒々しい波。 1年の大半は曇ってて、雲の生まれるところと言われているそうです。

 まず、全ての文が、緑のインクで印刷されていることに驚きました。
 エンデの『はてしない物語』や、石井桃子の『ノンちゃん雲に乗る』と似てますね。(両作とも、登場人物のいる世界と、異世界での出来事の文章を、別の色で印字している)
 つまりこのお話は、現実的でありながら、現実にはありえないことを、ありえたかのごとく感じさせる物語…リアルファンタジーなのです。
 夢のはざまで 風に吹かれているような、不思議なお話でした。
 
 
 主人公のフィオナは6歳の時、生まれ育った小さな島から大きな島へ移り住みます。
 彼女の父親は「古いやり方に満足できなくなって」島を出たのですが、フィオナには、街の暮らしが合いません。
 そこで、10歳の時、祖父母の住む島へとやってきたのです。 故郷のロン・モル島が、家の窓から見えます。

 フィオナが故郷へ帰りたかった理由は、もうひとつ。 弟を探したかったからです。
 弟は、フィオナの家族が引っ越すとき、波にさらわれてしまったのです。
 赤ん坊を乗せたゆりかごは、波に乗り、船も追いつけない速さで沖へ流され、群島を包む夕焼けの中に消えました。
 でも、群島のどこかできっと生きている…フィオナにはそう思われてなりません。
 なぜなら、フィオナの一族には、セルキーの血が受け継がれているからです。

 セルキーとは、ケルトに伝わるあざらしの妖精です。 おじいさんの話によると、フィオナのおばあさんのずっと前のおばあさんが、どうやらセルキーらしいのです。
 黒い髪と黒い瞳をもつ 風変わりな女性で、あざらしやかもめと話し、珍しい海草でスープを作り、ゆりかごを海に浮かべて赤ん坊をあやしていました。
 それ以来、赤い髪の一族に、黒い髪と黒い瞳の子が、時折生まれるようになりました。
 フィオナは燃えるような赤い髪に灰色の瞳、そして弟のジェイミーは、黒い髪と黒い瞳だったのです。

 フィオナは、島で群れて暮らすあざらしたちや、祖父母に見守られ、弟を取り戻そうとします。
 それは、自分がどこから来て、どこへ行くのかという、自分探しの旅でもありました。
 ここで思い出すのは、フィオナのお父さんが、何かを求めて島を出たこと。
「街のざわめきやスピードじゃないかな」と、おじいさんは言ってましたが、フィオナが欲しいのは、そんなものではありませんでした。

「わたしがほしいのは、金よりもっといいもの」「もしかするとあそこで見つかるかもね。 虹のふもとで……ああ、行ってみたい……」
 虹のふもとに埋まっているという金の詰まった壺より、もっといいもの…フィオナが生きるために求めたものは、お金で買える代物ではありませんでした。
 結末は大団円。 フィオナは望んだものを手に入れ、みんなが幸せになります。 あざらしの長ともいえる大あざらし(チーフタン)の活躍も、愛嬌たっぷりで、しかも頼もしい。
 本を閉じるころには、暖炉の火にあたためられているような、とっても快適な気持ちになりました。


 以上!…と締めくくりたいところですが、読書感想文を書くたびに心配になります。 私はこの本を完全に理解できていないと思い知らされるので。
 特に、簡単で単純な物語ほどひやひやします。
 若い人のように感性で勝負できないから、知識で対抗↓


 ケルト … ヨーロッパの先住民族。 紀元前4世紀ごろ、広くヨーロッパに居住していたが、ローマ人の北進、ゲルマン人の南進のために追われ、今日は主としてアイルランドにその文化を残す。 他にウェールズ、スコットランド、フランスのブルターニュ地方などさまざまな地域に散り散りになって住んでいる。 イギリスには紀元前に渡来し、鉄器文化をもたらした。
 キリスト教以前は、多神教のドルイド教(ドルイドとはオークの木を知っている人々の意。 霊魂の不滅を信じ、動植物の姿となった神々を崇拝。 泉、森、オークなどを神聖視する)を信仰。 その民話は宇宙的な広がりをもち、幻想的で、妖精伝説などが多く伝えられる。 小泉八雲はケルト人。
 「ケルトを知らずして、ヨーロッパのことはわからない」とは、文化人類学者レヴィ・ストロースの言葉(J・ジェイコブス編『ケルト妖精民話集』社会思想社現代教養文庫など)。
(『時代の風音』 堀田善衛・司馬遼太郎・宮崎駿 著 朝日文芸文庫 より引用)


 『借りぐらしのアリエッティ』の音楽を担当したセシル・コルベルさんは、フランス・ブルターニュ地方出身。 彼女は母国で、ケルトの民話・音楽をもとにアレンジした歌を歌っています。 アイルランド出身のエンヤの歌も、ケルト音楽をベースにしています。
 ケルトって、日本人にもなじみがあったんですね。
 

テーマ:図書館で借りた本 - ジャンル:本・雑誌

  1. 2013/06/04(火) 06:09:38|
  2. 本&漫画
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