海の底から

備忘録

風立ちぬ 感想5

 頭の中が忙しい。
 『風立ちぬ』の関連番組を録画しまくって、絵コンテ集を読みふけっては、妄想ばっかりしています。
(以下、ラストシーンに関するネタバレがあります)
 
 
 菜穂子さんが倒れたとの知らせを聞いて、二郎さんが大急ぎで駆けつけるシーンが好きです。
 寝たきりで身綺麗にはできない状態、ましてや結核はうつる病気です。 菜穂子さんは、好きな人に会いたくても 会うのがためらわれたでしょう。
 ですが二郎さんは、ためらわずひしっと抱きしめ、「きれいだよ」と告げるんです。 ふーっと宮沢賢治の詩「無声慟哭」がよぎって、なおさら胸に沁みこみます。

 菜穂子さんを見ていると、限りある生を生きるとは どういうことかと考え込んでしまいます。
 むなしくはなかったか、怖くはなかったか、と疑問に思ってしまうんです。

 私は痛いの大嫌いで、死ぬのがすごく怖いですが、いずれ死にます。 死に方と、いつ死ぬかが 分からないだけです。
 でも菜穂子さんにとっては、死ぬことより 忘れられることの方が、ずっとずーっと怖かったんだと思います。
 だから、「美しいところだけ好きな人に見てもらった(黒川夫人の台詞)」んだと思いました。

 いかに死ぬかは、いかに生きるか と同義なんですよね、結局。
 むなしくなんかないんだ、生きるに値することはあるんだ、それはとても小さくて、ささやかなものだから、つい見落としてしまうんだ。
 見落としたものを探さないといけないんだ……上映中、そんなメッセージが 駿おじさんの声で聞こえた気がしました。

 このおじさんの作品を子どもの頃から見ていますが、いまだに底が見えません。
 大きな闇が作品に潜んでいるはずですが、「わたくしから見えるのは やっぱりきれいな青ぞらと すきとほった風ばかり(「眼にて云ふ」宮沢賢治)」なのです。


 もし私が、惚れた男と死に別れる運命にあったとしたら、どうするかな?
 その人の思い出の中で生き続けられるよう、きれいな自分を記憶してもらおうとするんじゃないかな、やっぱり。 恋は人をエゴイストにするから。
 帰宅した二郎さんの服を、菜穂子さんが受け取って 丁寧に畳むシーンなんて、まるでおままごと。
 子どものごっこ遊びにも似た無邪気で楽しげな仕草が、かえって切なく、胸が痛くなります。
 

テーマ:映画 - ジャンル:映画

  1. 2013/08/04(日) 20:26:38|
  2. アニメ>ジ.ブ.リ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<腰ぬけ愛国談義 | ホーム | 夢日記8/4>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://umi88.blog54.fc2.com/tb.php/1537-b33b8c89
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

藍田海

Author:藍田海
・ Twitter

最近の記事

カテゴリー

ブログ内検索