海の底から

備忘録

風立ちぬ 感想8

 感想8つめです。 しつこいw
 今日で4回目の映画鑑賞。 月一で観てる計算になりますね。
 ざっと観客席を見たところ、ご年配の方が多かったかな。
 杖をついて歩くご婦人は、戦中派らしき風格。 高齢者は、身体が縮んでも、どこか威厳があるものです。
 やはり映画の舞台が昭和初期であることや、主人公が零戦の設計者・堀越二郎であるからでしょう。

 『かぐや姫の物語』の予告編も観ました。 翁が見つけた赤ちゃんは、快活でよく笑う、明るい少女に育ってました。
 それに、まるで墨絵が動いているようでした。 どうやって描いてるの、あれ? 今から鳥肌立ちまくりです。

 以下、『風立ちぬ』感想。 ラストシーンに関する重大なネタばらしを書きます。 ご注意あそばせ。
 
 
【セリフの変更について】

 6月に行われた映画の完成報告会見で、宮崎駿さんと庵野秀明さんが、ラストシーンのセリフを変えたことをお話していました。

庵野 「好きなシーンですか……。 まあ、ラストですかね。 セリフが台本とは180度変わって本当に良かった。 宮さんと重ね合わせて考えて、個人的に凄く良かったです。」
宮崎 「絵は全然変えてないんです。 セリフだけ」
―― どうして変えられたんですか?
宮崎 「いやぁ……、それは上手く行ってないから変えたんですよ。」
庵野 「上手く行ってなかったですよ。 最初は「なんじゃこりゃ」と思いました。」
一同 「(笑)」
宮崎 「色々ジタバタしていく過程なんですよ。 一応形を出してしまったら、「あ、これは違うな」って自分でも分かったんです。 どうしたら良いんだろうって。」
―― ご自身も「なんじゃこりゃ」って思うラストだったんですか。
宮崎 「はい。 零戦というのはとても描きにくい飛行機でしてね、描きたくないんです。 さっきも言いましたように、零戦が好きだと公言してしてる連中が好きじゃないもんですから、零戦は出さないで済ませたいと思ったんですけど、結局は出さざるを得なくなったんですね。 そういうことも含めて、ラストをどういう風に終わらせて行くかというのが非常に難しかったんです。 可能な限り悩んだんですけど、それだと絵コンテが終わりませんから。 絵は一応描くけれども、セリフは変えられますから。 最後は思い切って台本の中身をひっくり返して、それで行こうと。 そうしたら庵野がほめてくれました。」
庵野 「良かったです。 納得しました。」
  (『ロマンアルバム EXTRA 風立ちぬ』 徳間書店 より引用)


 で、どんな風に変えたのかな?と 絵コンテ集を確認すると、菜穂子さんの最後のセリフが違っていました。
 結核で亡くなった菜穂子さんが、夢の中で再会した二郎さんに向かって「生きて」というところ、最初は「来て」だったんですね。 初夜のセリフと同じ。
 しかし、「生きて」じゃないと、結末の感動が半減するじゃないですか。 私の涙を返せw

 でもあのラスト、よくよく考えたら、どのようにも解釈できるようになってるんですよね。
 二郎さんも戦争で死んで、先に逝った菜穂子さんが迎えに来てくれた…と捉えても、何ら不都合がない。
 それだと「来て」で合ってるし、二郎さんは菜穂子さんに、全てを受け入れてもらうことで救われます。
 なんか『神曲』のダンテとベアトリーチェみたい。

 『神曲』はあらすじしか知らないけど、イタリア人がこの映画を観たら、『神曲』を連想しそう。
 ダンテを導くウェルギリウスは、カプローニでしょ。
 そして、地獄をさまよった二郎さんは、菜穂子さんとともに 天国へ赴くのです。 ダンテとベアトリーチェのように。

 いや待て、史実では戦後も生き延びたんだぞ、二郎さんは。
 でもこれはノンフィクション映画じゃない、忠実に歴史を再現する必要はありません。

 そういえば、『風の谷のナウシカ』でもありましたっけ、どのようにも解釈できる伝説が。
 <青き衣の者>は、青き清浄の地へ導く使者なのですが、漫画版では極楽への案内者という意味にもなっていました。

クロトワ 「青き衣の者てのは 救世主じゃなくて 死神なんですかい?」
ユパ  「同じ予言が 時には生への希望となり 時には彼岸へのあこがれにもなる」
  (『風の谷のナウシカ』7巻 徳間書店 より引用)


 生きたい気持ち、死にたい気持ち。
 人間には生の衝動「エロス」とともに、死の衝動「タナトス」があると論じたのはフロイトでしたっけ。
 夢を叶え、力を出し尽くしたのなら、愛する人と消え去るラストも悪くないな。
 うーん、だんだんどっちでもいいような気がしてきました。

 …ハッ、違う!
 やっぱり二郎さんに生きててほしいので、セリフ変更は大成功です。
 零戦のパイロットたちが空の墓標に消えてしまっても、二郎さんは生きなくちゃ。
 今日観直して、そう思いました。
 

テーマ:映画 - ジャンル:映画

  1. 2013/10/14(月) 17:20:19|
  2. アニメ>ジ.ブ.リ
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