海の底から

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竹取物語

『現代語訳 竹取物語』 川端康成 著 新潮文庫

 日本最古の物語が、もうすぐアニメーション映画となって公開されます。
 その前に、どんなお話だったか知りたくなって、こちらの本を読みました。
 川端氏は、文章全体の意味を重視して、直訳より意訳をしてる感じ。
 それに、解説がとても分かりやすく、独自の指摘も興味深かったです。

 文体から、作者はおそらく男性だろうと書いてあって、ああそれで媼(おうな・おばあさん)は影が薄くて、翁(おきな・おじいさん)が活躍してるのかな、と私も思いました。
 …いつ、誰が、どんな動機で書いたかは、もはや確かめようがないのですが、あれこれ想像するのは楽しいです。
 
 
【各章のあらすじと、感想】

 一 かぐや姫の生い立ち

 昔、竹取の翁という人がいて、ある日、光る竹を見つけました。 その中には、三寸(約9cm)ほどの小さな人が、可愛らしく入っていました。
 その子はすくすく成長し、三月ばかり経つと、一人前の娘になりました。
 翁は彼女に「なよ竹のかぐや姫」という名を付け、姫の成人を祝って、大宴会をしました。

 …まず、姫が普通の人とは違うとはっきり書かれています。 最初は手のひらサイズの小人で、たった3か月で大人になるのですから。
 しかも、姫を見つけてからというもの、翁が竹を取りに行くと、竹の中には小金がザクザク。 翁に姫を養育させようと誰かが仕組んだようです。


 二 妻どい

 かぐや姫の光り輝く美しさは近所でも評判となり、男たちが次々とやってきます。
 特に五人の貴族が、強引に翁を口説いて、姫に会わせてくれるよう頼みます。
 かぐや姫は困って、五つの難題を出しました。
 五人の求婚者は、姫の持ってきてほしいと言われた物が、この国にない物ばかりで、とても持ってこれそうにないと、驚き呆れるのでした。

 …姫さま、超強気。
 理由は語られませんが、姫は結婚したくないようです。 でも翁は年だし、男と女は結婚するものだと姫を諭します。
 姫はきっぱり断るのも失礼なので、こんな遠回りな拒み方をします。
 常識的に考えれば、姫の方が強情なのですが、姫には姫の理由があると、ちょっとは考えてくれてもいいのに。
 ここで翁が、どんな人となら結婚してもいいか聞くと、姫は、
「どのような心のお方って――別に、何もたいして特別のことは申しませんわ。ほんのちょっとしたことなのです」
 と答えるのが、乙女心といいますか、妙にリアルでいいなぁと思いました。
 お金とか外見はどうでもよくて、ほんのちょっとしたやさしさに惹かれたりするんですよね。


 三 仏の御石の鉢
 四 蓬莱の玉の枝
 五 火鼠の裘
 六 龍の首の珠
 七 燕の子安貝

 五人の貴公子は、ある者は金に物言わせ、ある者は偽物を用意して、ある者は海に繰り出し、命を懸けて姫の望む物を得ようとします。
 が、偽物を姫に見破られたり、死にそうになったりして、全員失敗してしまいました。

 …姫さま、容赦なし。
 私も男に同情なんかしません。
 なぜって、誰も、姫の真情を汲もうとしないんだもの。 自分の要求ばっかり突き付けて。 財力や権力で女をどうにかしようなんて、甘いのです。
 姫は、失敗してしおしおと帰る男の後ろ姿に、勝利の微笑さえ浮かべていたんじゃないでしょうか。
 三章から七章のタイトルは、姫が所望した物の名前です。 仏(釈迦)が持ってた鉢とか、空想の山にある枝とか、決して焼けない織物とか、龍の珠とか、燕が生んだ貝とか、あるはずのないものばかり。 それをどうにかして手に入れようとする男たちと、姫の駆け引きが面白かったですが、種明かしされるとつまらないでしょうから、省略。


 八 御狩の幸

 かぐや姫の比類なき美しさは、帝(みかど)の耳にも届きました。
 宮廷に差し出すよう仰せられますが、姫は宮仕えするくらいなら死ぬと言って断ります。
 そこで帝は一計を案じて、狩りに行くふりをして、姫の家にやってきました。
 その清らかな美しさに打たれた帝は、姫の袖をつかんで離しません。
 無理やり連れて行こうとすると、姫は消えて、影のようになってしまいました。
 しかし帝が態度を改めると、姫はまた元の姿に戻りました。
 それ以来、帝は姫以外の女が目に入らなくなってしまいました。 そして、四季の移り変わりに歌を詠んでは、姫のもとへ届け、姫からの返歌に心を慰めるのでした。

 …また姫が普通の人ではないと、念押しするような描写が。 身体が消えて影のようになるって、どういうことでしょう?
 宮へ行ったら死んでしまうという姫の言葉も、嘘ではなさそう。
 帝も、目の前で消えそうになった彼女の必死な訴えを聞き届けて、無理強いはしませんでした。 振られるのは一緒ですが。


 九 天の羽衣

 三年ばかりたったある夜、姫が月を見ては悲しみに暮れるようになりました。 翁が月を見ないよう言っても、効果がありません。
 八月の満月が近づいた頃、姫は、自分が月の世界の者で、もうすぐ別れなければならないと、翁に打ち明けました。
 それを聞いた帝は、二千人もの武士を遣わして、姫を迎えに来る者たちを撃退しようとしました。
 八月十五日、夜中の十二時、急にあたりが明るくなると、人が雲に乗って降りてきました。
 武士はその姿を見ると、物の怪にとりつかれたようにぼんやりして、戦う気力も弓を射る力もなくなってしまいました。
 飛ぶ車から出てきた天人は、こう言いました。
「姫は、ある罪を犯しなすったによって、汝の如き賤しき者(翁)のところに、暫く身をお寄せになったのである。 その罪が、今はもう全く消え果てたので、それでこうして今わしが迎えにやって来たわけである。」
 すると、姫を隠していた土蔵の鍵が外れ、戸が自然に開きました。
 姫は、泣く泣く去る前に、義理の両親と帝に手紙を書き、不死の薬を渡しました。
 一切の物思いがなくなってしまうという、天の羽衣を着せられた姫は、もう翁のことを哀れとも悲しいとも考えませんでした。
 そして飛ぶ車に乗って、天へ帰ってしまいました。
 帝は、姫が残した不死の薬を、富士山の頂で燃やすよう命じました。
 その山の頂から吐き出される煙は、今もなお、月の世界に届けとばかりに立ち上るのだと、人々は言い伝えています。

 ついに姫の謎が明かされるクライマックス! 美しいラスト …なんですが、どうもすっきりしません。
 雲に乗ってやって来た人たちは何? 超能力者か宇宙人?
 月の人が年取らないって本当?
 姫の罪って何? いつ罪が消えたの?
 あの衣を着ると、記憶が消されるの?
 まったく訳が分かりません。
 ただ、悲しみの多い現世を逃れて、清らかな月の世界へ行きたい、でも行けない…という作者の 狂おしいまでの憧れ は伝わりました。

 川端氏は解説で、荒唐無稽な童話じゃなく、一人の女性の悲哀や葛藤が描かれた小説であると、この物語を評価しています。 以下、引用↓

「竹取物語には求愛はある。 が、恋愛は遂に一つもない。 いや恋愛はおろか、本当の意味に於いて、人間の心と心とがぴったりと合う、そういう親愛と交渉は一つもないのである。」
「この物語は、一種のペシミスティックな色を帯びている。 と同時に、理想に対するほのかな憧れを持っている。」


 かぐや姫は、月へ帰りたくなくて 泣いていましたが、言われてみれば、誰にも心を開かなかったなぁ。
 それに、罪人にありがちな後ろ暗さや、卑怯な振る舞いは見られませんでした。 人生を放棄した世捨て人って生き方でもなかったと思います。 強い意志を持ち、男たちと堂々と渡り合ったシーンは、痛快でした。
 それだけに、月へ帰る時のあきらめの良さ、はかなさは不可解でしたが…結局、謎が深まっただけででした。
 『かぐや姫の物語』を観れば、何か分かるでしょうか。
 

テーマ:読書メモ - ジャンル:本・雑誌

  1. 2013/11/05(火) 20:21:09|
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