海の底から

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映画『思い出のマーニー』感想

 タイトルを聞いただけで、あぁマーニーって女の子との出会いと別れを通じて少女が成長していくんでしょ、ラストはカタルシス有りきで、ジブリお得意の心の浄化と解放がテーマなんでしょ、毎度おなじみじゃん…と予想していましたが、そんな単純なお話ではありませんでした。


【あらすじ】

 杏奈は、家族や周囲の人々と打ち解けられない12歳の女の子。
 喘息に苦しんでおり、療養のため、北海道の海辺の村へやってきます。
 入江にたたずむ古い洋館に、シンパシーを感じる杏奈。
 誰も住んでいないはずのお屋敷で、杏奈はマーニーと出会います。
 互いに惹かれ合い、友情を深めていくふたり。
 でも杏奈は、マーニーが夢の中で見た少女そっくりなのを、不思議に思うのでした。

(以下、ネタバレ注意)
 
 
 
【感想】

 原作既読ゆえ、なるほど そうきたか、と唸ってしまいました。
 大きな変更は、舞台を、イギリスから現代の北海道に移したこと。 でも矛盾なく、破たんせず、雰囲気も良く まとまってました。

 杏奈を映画で見たら、多分イラッとするだろうなと思ったら、やっぱりイラッとしました。
 学校の先生や級友、義理の母親が、せっかく親切にしてくれても、おせっかいといわんばかりのとげとげしい態度。
 自分の殻に閉じこもって、自ら孤立を望んでいるとしか思えない振る舞い。
 他人の悪意には恐ろしく敏感なくせに、善意にはあまりにも鈍感で、しかも疑っているふしがある。

 そういうの、分からないでもないから余計、杏奈の態度に腹が立つわけです。
 近親憎悪ですね。
 本当は、杏奈本人もどうしていいか分からなくて、困っているのに八方塞がりなんです。

 そこへどこからともなくあらわれるのがマーニー。
 裾の長いドレスを着て、金髪をなびかせ、にっこりほほ笑むマーニーは、絵本に出て来るお姫様みたい。

 マーニーは、出会った瞬間から杏奈を好きで、自然に手をつないだり、肩を抱いたりします。
 他人との接触を極力避けてきた杏奈にとっては 新鮮で、ドキドキするけど嫌じゃない、不思議な感覚を味わいます。
 一緒にボートを漕いだり、ぎゅーっと抱き合うシーンのたびに、私もドキドキしました。

 親に先立たれた杏奈は、自分をひとりぼっちにした親を憎み、許せません。
 それと同じくらい、自分を憎み、許せません。
 おそらく、自分なんて生まれてこなければよかったと思っていたでしょう。
 でも、マーニーが好きだと言ってくれたことで、杏奈の心に自己肯定感が芽生え、癒されていきます。

 ところがマーニーは、ある嵐の夜、杏奈を置いて姿を消してしまうのです。
 激しい怒りと悲しみでいっぱいの杏奈。
 それでも杏奈は、最後にはマーニーを許し、和解します。 …夢の中で。

 そうなのです。 マーニーは、杏奈が作り出した幻想でした。
 小さい子がよくやるごっこ遊びの一環、空想のお友達、イマジナリーフレンド…物語は、観客がどう解釈してもいいようにできています。
 が、そんな理屈はどうでもいい、マーニーは実在していた、杏奈も私もそう信じています。
 それがなにより尊い真実。
 ラストでは、目からうろこの事実が発覚し、感動がさらに強まります。 それは映画館でご確認を。


 臨床心理学者の河合隼雄さんは、原作について、こう書いています。

「筆者が心を打たれたのは、そのような幻想の世界の住人こそが、アンナを癒すことができた――そして、この世界に実在している誰もがアンナを癒せなかった――という事実であった。(略)
 『思い出のマーニー』を読んで、筆者が感じたことは、人間存在というものを考えるとき、こころとからだという二つの領域のみでなく、その両者をあわせて全体性を形づくるものとしての第三領域の存在を仮定せざるをえないということであった。 アンナはからだが悪いのでも、こころが病んでいるのでもない。 彼女の第三領域との接触がうまくいってなかったために、いろいろと問題が生じていたのではなかろうか。 そして、彼女の幻想のなかに立ち現われたマーニーこそ、その第三領域からの使者ではなかっただろうか。 この第三領域について、筆者は今のところ、それほど詳しく確実に語ることはできないが、それが古来から、たましいと呼ばれてきたものではないかとは思っている。」
(『大人になることのむずかしさ 青年期の問題 [新装版]』 河合隼雄 著 岩波書店 より)



 人間って不思議ですね。 生まれながらに自分を癒す力を持ってるんですから。
 こういうのを知るたびに、生きてるのが奇跡みたいに感じます。
 

テーマ:映画 - ジャンル:映画

  1. 2014/07/19(土) 19:05:50|
  2. アニメ>ジ.ブ.リ
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