海の底から

備忘録

『君.に.届.け』 23巻 感想

 1冊丸ごとあやねとケント!
 二人の間の微妙な距離感に、決定的な溝が生まれ、やがて別々の道を選ぶまでのお話。
 トラブルメーカーにすぎなかったケントの変貌ぶりもすごいけど、別離までの顛末を丁寧に追ったルポルタージュのような描写がすごかったです。

 あと余白に書かれてた 「家の鍵紛失事件」に和みました。
 娘さんも お連れ合いも明るい人で、いい家族だなぁ。
 さっそく爽子と風早で再現妄想させて頂きました。 どうもごちそうさまでした。
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  1. 2015/01/26(月) 06:23:23|
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正しいパンツのたたみ方

『正しいパンツのたたみ方 新しい家庭科勉強法』
       南野忠晴 著  岩波ジュニア新書


 男性家庭科教師が書いた、いたって真面目な家庭科についての本を図書館で借りました。
 岩波ジュニア新書は、少年少女たちの役に立つような良書をたくさん出版しています。

 女性誌のあおり文句みたいなタイトルから、イクメンタレントの育児本みたいなのを想像してたら大間違い。
 「はじめに」にある通り、著者の南野先生は、子どもたちに「生活力」を身につけてほしくて、この本を書いたそうです。
 健康で安定した生活を送っていれば、嫌なことや辛いことがあっても、なんとかやっていけますから。

目次…序章 家庭科を学ぶ意味
     1章 いま、生きているワタシ
     2章 家族の中で生きる
     3章 社会の中で生きている
     終章 豊かに生きるためのスキル

 内容はこんな感じ。 単に衣・食・住について書かれているわけではありません。
 自分でお弁当を作ることが、自立への第一歩になるという南野先生の薫陶を受けて、3年間やり遂げた女子生徒の話には胸を打たれました。
 お弁当を作ろうと思ったら、材料を買わないといけないから、お金の使い方について考える。 早起きしないといけないから、時間の使い方まで自分で考えるようになるんですよね。
 それが、自立へとつながるんですね。

 あと、家庭科や芸術、保健体育の方が、いわゆる主要教科より、人生を豊かに、楽しくしてくれるという考え方に賛成です。
 私も学生時代から同じことを考えてました。 数学や英語が苦手だったという理由もありますが(汗)
 美味しい料理はきれいに盛り付けたい。 部屋に花を飾ったり、服のデザインや着こなしにも気を配ることで、生活は楽しくなるもの。
 考えの近い人の本は、やはり読みやすいです。

 くつ下の干し方も南野先生と同じで、にやけてしまいました。
 くつ下のゴムの部分を上にして干す、とイラスト付きで書いてありました。
 これ、上がいいのか、下がいいのか、はっきりしなかったんですけど、やっと分かりました。
 つまり、どっちも正しいってこと。
 人によって育った環境や考え方は違いますから、いろいろあって当たり前なんだってこと。

 パンツのたたみ方も千差万別。
 相手の意見を尊重しながら、自己主張もして、譲り合い、支え合える大人になってほしい。
 それが、タイトルに込められた真意ってとこかな。
 成人の日にピッタリのいい本を読みました。
 

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  1. 2015/01/12(月) 20:54:37|
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旅人

『旅人  湯川秀樹自伝』 湯川秀樹 著 角川文庫


 引力と重力の違いも分からん人間が、何故この本を読もうと思い立ったのか。
 それは、哲学者の梅原猛さんが、
「『旅人』は日本の自伝文学のうちの白眉である」
 (『百人一語』 梅原猛 著 新潮文庫 より)
と、ほめていたからです。 おっしゃる通り、
「簡潔であり、率直であり、しかも成功者の自伝にありがちな自負や虚栄が全くない」
ので、これを読んだら誰だって、湯川さんを好きになるでしょう。 私は好きだな、この人。

 内容は、幼年期から、ノーベル賞の対象となった「中間子論」を書き上げた27歳頃までの、自身と周りの人たちについての叙述です。
(湯川さんが中間子論を発表したのって、堀越二郎さんが九試単座戦闘機を設計したのと同じ、昭和9年だ)
 明治から昭和初期の町並みや、人々の暮らしぶりも、学者らしい観察力で細かく描写されています。
 アインシュタインの出現が世界に与えた衝撃や、当時の物理学が日進月歩で発展していたことも。
 自分のお見合い話まで、忠実に書いたくだりは、特に微笑ましいエピソードとして読みました。
 父親が厳格な学者で、あまり可愛がられなかったと、言外にほのめかす程度に書かれています。 7人兄弟の中で1番理解されなかったようで、さぞ寂しかったでしょうね。


「弁解することが、きらいだった。何故こんなことをするのか、どうしてこういうことになったか、というような質問に会うと、きっと黙り込んでしまう。ある時はそれがそのまま、父に対する抵抗であったように思う。(中略)
「言わん」
という言葉のかげに、どう思われてもいいと思う、あきらめもあったかもしれない。」
「とかく男の子は、父親のいうことをそのまま受け入れようとしないのだから。 ――私にも、父親のいう通りにしなかった覚えがあるのだから。――」

 (『旅人』 より P.52 P.178)


 引っ込み思案で、頑固で、孤独で、厭世観につきまとわれた人。
 人として未熟なままでも、弱点を抱え込んだまま、生涯を全うした人。
 私には 湯川博士の理論のすごさは 少しも理解できません。残念ながら。
 それでも、自分のことを飾らないで書いた、真面目さと謙虚な人柄は、とても良いなぁと思いました。
 

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  1. 2014/11/30(日) 20:48:39|
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ときめきトゥナイト 真壁俊の事情

ときめきトゥナイト 真壁俊の事情 (りぼんマスコットコミックス)ときめきトゥナイト 真壁俊の事情 (りぼんマスコットコミックス)
(2013/08/09)
池野 恋

商品詳細を見る


【内容】

 魔界生まれの江藤蘭世が、人間界の男の子・真壁俊と恋をして結ばれるまでを描いた『ときめきトゥナイト』の番外編。
 今だから語れる、真壁君視点の物語。
 あの時彼は、蘭世のことをどんな風に思っていたのでしょう?
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  1. 2014/09/21(日) 16:46:36|
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あらゆる小説は模倣である

 ドイツの古い詩について書かれた本に、『走れメロス』(太宰治 著)とよく似た内容の詩を見つけました。
 あまりにもそっくりなので、ネットで検索してみたら、『メロス』の方が、この詩をもとに書かれたことを知りました。

 本家は、フリードリヒ・シラーの物語詩『人質』。 冒頭をご紹介。

  暴君ディオニュースのもとへ
  ダーモンはしのびこんだ、短剣を懐にして。
  彼はとらえられた。
  「この短剣で何を企んだのだ、いえ。」
  暴君が陰険に問いただす。
  「この町を暴君から自由にするためだ。」
  「はりつけにしてやる、後悔するがいい。」

  (『ジュニア版 世界の詩 ドイツ』 神品芳夫・神品友子 共著 さえら書房 より)


 この後、ダーモンが妹の結婚のために、3日の猶予を頼むのも、王の元へ友を人質として残すのも、帰途、豪雨や山賊に遭い、足止めを食らうのも、友の下僕が引き返すよう忠告するのまでそっくり。
 ラスト、刑の執行に間に合い、抱き合う二人の友情に感動した王が改心するのも同じです。
 詩は小説より簡潔で、調べは太宰より格調高かったです。(訳文を読んだだけですが)
 文豪が平気でパクってたことにガッカリしました。
 でも他の人は、この事実を知ってて名作と評価している…どうしてなのか疑問に思いました。

 『あらゆる小説は模倣である』(清水良典 著 幻冬舎新書)には、夏目漱石も村上春樹も真似っ子で、寺山修司に至ってはパクリの名人だったとさえ書いていて呆然。
 宮崎駿さんのことまで、ご丁寧に例を挙げて紹介していました。
 『風の谷のナウシカ』に登場する剣士・ユパと、飛行機メーヴェは、フランスの漫画家・メビウスの模倣であると。
 宮崎ファンの私も、これは知ってたけど…清水氏のいう通り、パクリじゃなくてオマージュです。 メビウスさんも宮崎さん大好きで、真似されて喜んでたもん。

 …じゃあ作家の個性って何だろう、独創性って何?
 この本は、そんなオリジナリティへのこだわりを解きほぐす、小説の指南書です。
 堂々と模倣し、新たな作品を生み出してほしいという、書き手への激励なのです。

 誰もが見落としているものを拾い集め、取り込み、アレンジを施す。
 そこにこそ、オリジナリティがある。
 常にアンテナを張って、良いものを吸収する姿勢が大事なのですね。

 とすると、太宰の『メロス』は、いわゆる盗作とは違いますね。
 素晴らしい詩の中身を堂々と盗んで、劇的で情熱的な文章で飾り立て、現代人らしい心の葛藤を追加して、ラストはもっと盛り上がるよう、二人が殴りあってから抱擁する、いい改変。
 うーん、小説って奥が深いです。
 
  1. 2014/08/10(日) 19:12:11|
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